Go For It!!



 今日のシー君はとってもご機嫌です。なぜかというと、家にお客様が来てやがるからですよ。
「おー、マジで周り海ばっかだな」
 まぶしそうにしながら言ったのはプロイセンです。この前こいつのブログにコメントしてやったら、本当に遊びに来たのです。
 ま、シー君は素敵な三百六十度オーシャンビューですから当然ですけどね!
 それにしても、快適インターネットは最高です! パパに感謝しなくては!
「あったりまえですよ」
 ふふん、と胸を張ってやりました。
「なんてったって、シー君は海上要塞にして世界最小の国家なんですから」
「お前が『国』とか、無理に決まってんだろ」
 お客様の身分でやたらエラそうなのは、もちろんイギリスの野郎です。招いた覚えはないのに、勝手に上がりこんでやがりました。でもシー君は心が広いので受け入れてやるのです。
「無理じゃねえです! そんなこと言ってると、お前んちにロケパンぶちこんでやるですよ!」
「ハッ。できるもんならやってみな」
 そう言われてはシー君、黙っていられません!
「言ったですね! あとで泣いても知らないですよ!」
 プリンスに言えばイギリスなんてチョチョイのチョイなのです。今に見とけですよ。
「今はんなことどーでもいいじゃねえか。せっかく海あるんだし、泳ごうぜ」
 それもそうです。シー君は大人だから、ガキなイギリスが売ってくるケンカは買わないのです。爵位がバカ売れなので、お金はいっぱいありますけどね!
「イギリスの野郎なら、特別に甲板からの飛びこみを許してやるですよ」
「……お前、俺のことなんだと思ってやがる」
 眉毛。

 たくさん遊んでいるうちに、時間はさっさと流れてしまいました。いつの間にか帰る時間になってしまっていたのです。
「まだ遊ぶのですよー」
 ボールを投げつけると、イギリスの野郎は困り顔になりました。
「俺たちは毎日忙しいんだよ、お前と違ってな。来てやっただけで感謝しろ」
 失礼な、シー君だって大変なのですよ。
 身体を修理したり、ラトビアを励ましてやったり、快適インターネットで遊んだり、日本のアニメを見たり。イギリスなんかとは比べ物になりません。
 でも、遊びに来るなら、わざわざ時間を割いてやらないこともないのです。なんたってシー君は、小さな身体に収まらない広い心を持っているのです!
「やだやだですよー。シー君はまだ遊び足りないんですよー」
 イギリスの野郎の服をつかんで引っぱると、手をばちんと叩かれました。びっくりして顔を見ても、怒ってはいませんでした。
 でも笑ってもいなくて、とっても冷たい無表情なのです。
「甘ったれんな」
 手を、離すしかありませんでした。べ、別に怒られて怖かったわけじゃありません。
「……」
 だけど、二人が帰ってしまったらシー君は。……シー君は、一人。
 なんだか泣いてしまいそうで、ぎゅっと手を握りしめました。強い国家は、泣き顔なんて見せちゃいけないのです。
 そしたらなにかが髪をボサボサにしました。かがんだプロイセンの野郎が頭をなでていたのです。
「また、遊びに来るから」
 だからそんな顔すんな。そう言いました。
「約束するですか」
 おう、とプロイセンの奴は笑ったのです。歯を見せて、大人のくせに、子どもみたいに。
「次はヴェストとかイタリアちゃんとか、たくさん、人、連れてきてやるよ。人数が多い方が楽しいだろ?」
「当然ですよ! そしたらみんなにシー君の素晴らしさを教えてやるですよ!」
 もう泣きたい気持ちなんて吹っ飛んで、今はワクワクしていました。
 さびしいことなんかないのです。だって僕は、世界最小国家のシーランドさまさまなのですから!


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09/09/02